米窪太刀雄著『海のロマンス―― 練習帆船大成丸の世界周航記』(現代表記版)は

7月18日(海の日)に刊行予定です。

 

システムの都合上、電子書籍版の刊行後、紙本(ペーパーバック)が利用可能となるまでに最大1~2週間かかる可能性があります。

※ 電子書籍に関しては国内のほとんどの主要電子書籍販売サイトで入手可能ですが、販売開始時期は多少前後します(こちらも1~2週間程度)。

あしからずご了承ください。

ヨットの航海記の紹介も4回目。
小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。

絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。

ヨットの航海記

・『太平洋へ行こう』徳間順一著、創英社/三省堂書店

・『続 太平洋へ行こう』徳間順一著、創英社/三省堂書店

・『アラウンド・アローン』白石康次郎著、文藝春秋

・『ヨット・キザッペの日本周航』奥原一美著、アルゴ企画

・『極楽とんぼ、大西洋を渡る』中島正晃著、舵社

・『タニア18歳、世界一周』タニア・アービィ著、新潮社

・『大航海』アミール・クリンク著、文藝春秋

・『ヨーロッパ運河ヨットの旅』田中憲一著、新潮社

・『たのむぞ!欧美号』舩木匡著、自費出版

・『二人だけのヨット旅行(上)(下)』神田真佐子著、舵社

・『コックピットのひとりごと』村上由香著、河出書房新社

番外編として、ヨットに関連する遭難や漂流の(実験を含む)記録

・『ヨットが呑まれた』朝日新聞社会部著、朝日新聞社

・『アカリ号の実験』八巻英輔著、二見書房

・『実験漂流記』アラン・ボンバール著、白水社

・『大西洋漂流76日間』スティーヴン・キャラハン著、早川書房

・『ザ・サバイバル』平島正夫著、リヨン社

・『たった一人の生還』佐野三治著、新潮社

で、そうならないためのシーマンシップに関連した本がこちら

・『アナポリス式シーマンシップ』ジョン・ロスマニエール著、鯨書房

・『海図の読み方』沓名義/坂戸直輝著、舵社


『ヨットマンの航海術』鈴木邦裕著、海文堂

・『クルーザー教室』関根久著、舵社

・『インナーセーリング』青木洋著、舵社

・『プレジャーボートのためのGPSナビゲーション』高槻和宏著、舵社

・『スピン・ナ・ヤーン』野本謙作著、舵社

・『プレジャーボーティン具のための気象ハンドブック』馬場邦彦著、舵社

・『海の信号旗』杉浦昭典著、舵社

・『海の交通ルール』鈴木三郎著、舵社

小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記の紹介の3です。

絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。レースの参戦記もあれば、のんびり沿岸航海の旅もあり、ヨーロッパの運河を旅する本もあります。

入手困難なものほど、手に入れたときの喜びも多くなります。
図書館や古書店めぐりという「本の海での冒険」を楽しみましょう。

  • 『オールドヨットマンのソロ航海記』 竹内秀馬著、成山堂書店
  • 『オケラ五世優勝す—世界一周単独ヨットレース航海記』 多田雄幸著、文藝春秋社
  • 『ドリーマー号最後の旅』 田中憲一著、丸善
  • 『ロマンチック・チャレンジ』 フランシス・チチェスター著、筑摩書房
  • 『大西洋ひとりぼっち』 フランシス・チチェスター著、筑摩書房(現代世界ノンフィクション全集20)
  • 『嵐と凪と太陽』 フランシス・チチェスター著、新潮社
  • 『奥様、もやいをどうぞ─ヨット「アトリエ三世」の世界一周航海』 塚田いづみ著、舵社
  • 『太平洋一直線』 戸塚宏著、オーシャンライフ社
  • 『地球少女エリカ—世界1周ヨットの旅』 長江裕明著、朝日新聞社
  • 『犬と私の太平洋』 牛島龍介著、朝日新聞社
  • 『彷徨の彼方』 西山隆著、自費出版
  • 『チタ物語—外洋ヨットに青春を燃やしたチタ・グループの足跡』 丹羽徳子著、舵社
  • 『スハイリ号の孤独な冒険』 R.ノックス=ジョンストン著、草思社
  • 『風と海と仲間たち シーガル号世界一周航海記』 野村輝之著、北海道新聞社
  • 『春一番の航海』 野本謙作著、舵社
  • 『貿易風を突っ走れ!—シルバー世代のおっかなびっくり冒険野郎』 羽山康夫著、ネコ・パブリッシング
  • 『太平洋にかけた青春』 東山洋一著、舵社
  • 『希望号の大冒険』 藤村正人著、舵社
  • 『ぽっぺん先生と笑うカモメ号』 舟橋克彦著、岩波少年文庫
  • 『父と子』 デイビッド・ヘイズ/ダニエル・ヘイズ著、角川春樹事務所
  • 『青春夢航海 今給黎教子とヨット「海連」世界一周』 星島洋二著、共同通信社
  • 『トリとネコと無風先生の航海—日本ヨット紀行』 松永義弘著 高橋唯美絵、あかね書房
  • 『見直しへの旅—ヨット・テケ三世、文明から原始への航海記』 松村賢治著、PHP研究所
  • 『70歳・太平洋処女航海』 村田和雄著、エイバックズーム
  • 『太平洋は学校だ—家族4人ヨット太平洋一周3年2カ月の記録』 山下健一著、新風舎
  • 『アイスバード号航海記』 デビッド・ルイス著、立風書房
  • 『ふたりの太平洋』 ハル・ロス著、海文堂
  • 『ホーン岬への航海』 ハル・ロス著、海文堂出版
  • 『トモよ、生命の海を渡れ』 渡辺郁男・ヤヨミ著、大和書房
  • 『ボヘミアン世界周航記:社長職を捨ててヨット一人旅』 渡辺起世他著、三河湾ヨット倶楽部

堀江謙一さんの著作については別途まとめてありますので、こちらをご覧ください。

83歳で太平洋横断に成功した堀江謙一さんの本

ヨットの航海記の2です。

ここで紹介するのは、小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。

絶版になったものや電子書籍として復活してきたものなど、さまざまですが、本の一生も人の一生と同じで、思いがけない出会いや予想もできなかった展開になることもあります。

入手困難なものほど、手に入れたときの喜びも多くなります。
図書館や古書店めぐりという「本の海での冒険」を楽しみましょう。

  • 『ヨットが好き』 金子純代著 朝日新聞社
  • 『邂逅の航海—台湾から長崎へ 不思議なめぐり会いに導かれたヨットの旅』 上重憲二著 舵社
  • 『ヨット野郎の世界漫遊記』 城所千万著 成山堂書店
  • 『大海原の小さな家族』 フランス&クリスチャン・ギラン著 ハヤカワ文庫
  • 『北極圏ヨットの旅』 ロバート・グールド著 心交社
  • 『ひねもす航海記』 国重光熙著 リーダーズノート
  • 『白鷗号航海記』 栗原景太郎著 マリン企画
  • 『大航海—南極から北極へ660日間ヨットひとり旅』 アミール・クリンク他著 文藝春秋社
  • 『ダブ号の冒険』 ロビン・リー・グレアム著 小学館
  • 『七ノットの世界—ヨーロッパから大西洋横断・カリブ海へ』 黒宮康明他著 成基学園
  • 『リブ号の航海』 小林則子著 文春文庫
  • 『優しく海に抱かれたい』 小林則子著 集英社
  • 『ヨットアン5のつぶやき航海記—日本列島周航22昼夜Twitter』 駒井俊之著 eブックランド
  • 『気まま、我儘、風まかせ—ヨット「MANA」の地球2/3周クルージング』 駒崎且郎著 舵社
  • 『孤闘—FightingAlone』 斎藤実著 角川書店
  • 『世海一周航海記 ヨットで1113日、5万キロ走破!』 坂口正視著 文芸社
  • 『世界一周子連れ航海記』 迫正人著 集英社
  • 『ヨット招福の冒険—世界一周クルージング』 笹岡耕平著 成山堂書店
  • 『風帆心─ヨット<招福号>南太平洋航海記』 笹岡耕平著 牧野出版
  • 『列島ぐるりヨットの旅─「招福」のクルージングレポート』 笹岡耕平著 成山堂書店
  • 『夫婦で世界一周 夢丸物語—定年後にヨットで出発!』 澤茂夫著 エイ文庫
  • 『独りだけの海—女性による初の世界一周ヨット単独航海の記録』 ナオミ・ジェームズ著 田中脇子訳 舵社
  • 『たった一人の海』 アラン・ジェルボー著 平凡社(世界教養全集24収録)
  • 『信じられない航海』 トリスタン・ジョーンズ著 舵社
  • 『史上最年少ヨット単独無寄港世界一周 七つの海を越えて』 白石康次郎著 文藝春秋社
  • 『チェリブラ3世航海記—太平洋横断』 杉山四郎著 柳原出版
    『スプレー号世界周航記』 ジョシュア・スローカム著 高橋泰邦訳 草思社
  • 『手づくりヨットで日本一周6500キロ─ヤワイヤ号の冒険』 関屋敏隆著 小学館
    『それから─14歳太平洋単独横断』 高橋素晴著 日刊スポーツ出版社
  • 『走れ! サンバード』 武市俊著 舵社

(まだまだ続きます)

その1はこちら

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かつて昭和の時代の日本では、ヨットの航海記といえば、各出版社が競って出版していた花形ジャンルの一つでした。

海が未知のフロンティアではなくなった現代、冒険航海の本も「最高齢」「最年少」「世界初」といったキャッチフレーズがなければ、なかなか受け入れてもらえず、出版されることもまれになってきました。

これからは何をしたかではなく、つまり、単に体育会系の「やったぜ、俺」的なものではなく、「何を感じどう思ったか」という、時代をこえて普遍的に価値のあるものをどう伝えるか、が重要になってくるでしょうね。

ここで紹介するのは、小さなヨットの航海がまぎれもなく冒険だとみなされていた、ある意味で幸福な「個人による大航海時代」に出版された航海記です。

絶版になってすでに入手困難なものも多いのですが、図書館や古書店で探すという「本の海での冒険」としての楽しみもありますよ。


  • 『海とぼくの「信天翁」』 青木洋著、 PHP研究所
  • 『はるかなる海の唄』 浅沼良男著、 講談社
  • 『ふたりぼっちの太平洋』 石川雅敏・紀子著、 自費出版
  • 『ふぁざあぐうすの海—父とひとり娘の大西洋横断記』 石浜恒夫著、 学習研究社
  • 『風になった私—単独無寄港世界一周278日の記録』 今給黎教子著、毎日新聞社
  • 『アジズ号とわたし—大西洋単独横断記』 ニコレット・ミルンズ・ウォーカー著 岡本浜江訳 、日本リーダーズダイジェスト
  • 『水平線の少年』 牛島龍介著、 朝日ソノラマ
  • 『小さな洋上教室』 内海勝利著、 玉川大学出版部
  • 『夢をかたちに—ヨット「椰子丸」の南太平洋クルージング』 海輪光正著、舵社
  • 『地球は小さなタマッコロ—波切大王航海記』 大儀見薫著、 教育社
  • 『海のレゾナンス—単独世界一周 ヨット、リサ号と』 大滝健一著、 舵社
  • 『かあちゃんのヨット大冒険』 大平幸子著、 講談社
  • 『港を回れば日本が見える ヨットきらきら丸航海記』 岡敬三著、 舵社
  • 『シンシアとぼくと太平洋—123日漕航横断記』 岡村精二著、 立風書房
  • 『ぼくの太平洋大航海—お父さんとヨットで太平洋横断155日間の記録』 岡本篤著 、講談社
  • 『たった二人の大西洋』 ベン・カーリン著、 大日本雄弁会講談社(講談社の前身)
  • 『コラーサ号の冒険』 鹿島郁夫著、 朝日新聞社
  • 『ブルーウォーター・ストーリー—たった一人、ヨットで南極に挑んだ日本人』 片岡佳哉著、 舵社まだまだ続きます。

堀江謙一さんが83歳で太平洋横断に成功しました。

日本のヨットをめぐる状況は、1962年の堀江さんによる単独太平洋横断成功をきっかけに劇的に変化しました。

というわけで、堀江謙一さんに敬意を表して、堀江さんのヨット関連の本をご紹介しておきます。

ヨットによる航海記は非常に多いので、他のヨットマンの航海記は後日、改めて紹介します。


堀江さんの本の特徴の一つは、いっったん絶版になった後も、再版、復刻、児童向けなどで複数の出版社から版を改めて刊行されているものが多くあることです。

それだけ冒険航海の価値が認められている(「日本初/日本人初」という冠がつく航海が多い)ということでしょう。ここに記載したのは初刊行時のデータです。

●『太平洋ひとりぼっち』 文藝春秋

1962年、全長17フィート(6メートル弱)の合板製ヨット、マーメイドで日本人初の単独太平洋横断に成功した23歳のときの航海記。

●『マーメイド三世 : 単独無寄港世界一周』 朝日新聞社

1974年の日本初の小型ヨットによる単独無寄港世界一周の航海記。
前年のマーメイドIIでの東まわり世界一周の失敗後、マーメイドIIIで再挑戦して成功したときの西まわり世界一周の航海記。貿易風に逆らう西まわりの方がはるかに難易度が高いとされる。

この後、2004年に東まわりでの世界一周にも成功。東西両まわりで世界一周に成功したのは日本人初、世界でも二人目。 続きを読む

『現代語訳 海のロマンス』の連載は終了しましたが、帆船に興味を感じた方に、さらに帆船にまつわる本をご紹介します。

今回は「フィクション」編です。

まずは児童文学の名作から

  • 『ヤマネコ号の冒険』 アーサー・ランサム著、岩田欣三訳、岩波書店

いわずとしれた「つばめ号とアマゾン号」シリーズの一冊。フリント船長と子供たちが乗り組んだ二本マストのスクーナー・ヤマネコ号での、宝探しをめぐる冒険航海。読み進むうちに、帆船の操法をマスターしてしまったような気になる本。

  • 『ニワトリ号一番のり』 ジョン・メイスフィールド著、木島平治訳、福音館

帆船全盛時代、中国からの新茶を積んだクリッパー船(高速帆船)での英国までのレースを舞台にした物語。汽船と衝突しボートで脱出したブラック・ゴーントレット号の乗組員たちは、無人で漂流していた謎に包まれているニワトリ号に乗り移り……

ここからは海の男たちの骨太の物語を

  • 『海の狼』 ジャック・ロンドン著、関弘訳、トパーズプレス

「野生の呼び声」などアラスカもので知られるジャック・ロンドンは、十代でアザラシ猟の漁船に乗り組んだ体験を持ち、それを元に想像力豊かに海の狼ラーセン船長とゴースト(幽霊)号の物語を描き出す。海洋文学の傑作。

  • 『海の勇者たち』 ニコラス・モンサラット著、関口篤他訳、徳間文庫

スペイン無敵艦隊を破った英雄ドレークの艦隊で操舵手をつとめ、時代を超えて生きるマシュー・ローの目から見たオムニバス形式の物語。十六世紀から二十世紀後半までの十五話(全三巻)。

  • 『船になりたくなかった船』 ファーレイ・モウワット著、磯村愛子訳、文春文庫

カナダ東岸の三十一フィートの小型スクーナー「ハッピー・アドベンチャー」号をめぐる奇想天外なユーモア小説。とはいえ、海や船をめぐる描写は正確で秀逸。

  • 『海神丸』 野上彌生子著、岩波文庫

二本マストの木造帆船・海神丸は正月前の航海で暴風雨に遭遇し、大西風のため冬の太平洋に押し流されて漂流するはめに。四人の乗組員の極限状況における人間ドラマ。実際にあった海難事故に取材したとされる古典的作品。

  • 『眞昼の海への旅』 辻邦生著、集英社

人種も国籍も異なる十六人の男女が乗り組んだ全長二十六メートル、二本マストの帆船による世界周航の航海と、その過程で連続して起きた不吉な出来事と殺人事件。生存者をさばく法廷での証言による陳述で物語が描かれていく。

  • 『海狼伝』『海王伝』 白石一郎著、文藝春秋社

戦国時代を背景に、瀬戸内海賊の血をひく呼子笛太郎の壮大な海をめぐる物語。瀬戸内海や九州から朝鮮半島、中国大陸、さらにはタイ・シャム湾までを舞台に展開される海賊の一代記。

ここからは、海洋冒険小説では定番の大英帝国海軍の将校ものを、いくつかご紹介

  • 『海の男――ホーンブロワー・シリーズ』セシル・スコット・フォレスター著、菊池光、高橋泰邦訳、ハヤカワ文庫

ナポレオンと戦争中の英海軍・艦長ホーンブロワーを主人公とする全十巻の物語。海洋冒険小説の代名詞ともなっている。特に第5巻『パナマの死闘』は木造帆船同志の壮絶な戦いで、映画化もされている。

  • 『海の勇士――ボライソー・シリーズ』アレグザンダー・ケント著、高橋泰邦訳、早川書房

ホーンブロワーと並び称される海洋冒険小説のシリーズ。こちらもやはり英国海軍の軍人ボライソーが主人公の長編シリーズ。原作では時代が前後しているが、邦訳では主人公の成長に合わせて刊行されている。

  • 『ラミジ艦長物語』ダドリ・ポープ著、田中欣哉他訳、至誠堂

主人公のニコラス・ラミジは英国貴族で、ネルソン提督時代の帆走フリゲート艦シベラ号の若手将校。父親はかつての提督で汚名を着せられて失脚しており、自国の海軍内に敵がいるというのが他とひと味違うロングランシリーズ。

  • 『海軍将校リチャード・デランシー物語り』 C・ノースコート・パーキンソン著、出光宏訳、至誠堂

貴族など門閥が幅をきかせる英海軍で、そうした後ろ盾もないまま、苦悩しつつも誠実に道を切り開き、最後にはナイトに叙せられるまでのリチャード・デランシーの物語。全六巻のシリーズ。

  • 『闘う帆船ソフィー』 パトリック・オブライエン著、高橋泰邦訳、パシフィカ

英仏が海の覇権を争っていたナポレオン時代の大英帝国海軍士官、ジャック・オーブリーが主人公。軍医との友情に加えて、帆船の構造や船内の生活が詳細に描かれているのが他のシリーズとは違うところ。

『現代語訳 海のロマンス』の連載は終了しましたが、帆船に興味を感じた方に、さらに帆船にまつわる本をご紹介します。

小説は数が多いので(次回に紹介)、今回はノンフィクション限定です。

●『帆船 航海と冒険編』 杉浦昭典著、キンドル版(海洋文庫)

帆船について知ろうと思ったら手にとるべき定番の、ある意味、教科書ともいうべき本。一九八六年に出版された本のデジタル復刻版。電子書籍で入手しやすくなっています。

●『総帆あげて』土井全二郎著 海文堂 

日本の練習帆船・日本丸の長期練習航海に同乗した新聞記者の乗船記。
帆船がどういうものか、帆走訓練では何をするのか等が要領よく説明されています。

●『キャプテン・森勝衛』日本海事広報協会編 日本海事広報協会

『海のロマンス』の大成丸の世界周航にも実習生として乗船し、「生きた日本海運史」とも呼ばれる伝説の名船長の伝記。

●『帆船バウンティン号の反乱』ベンクト・ダニエルソン著、山崎昂一訳 朝日新聞社

十八世紀末のイギリス海軍で起きた、武装船バウンティ号における反乱について、ゆかりのあるタヒチに住みながら、その背景や後日譚などをまとめた労作。

●『コロンブス航海記一四九二年』ローベルト・グリューン著 尾鍋輝彦・原田節子訳 講談社

大航海時代のさきがけとなり、世界の歴史を変えたクリストファー・コロンブス。そのコロンブスについての史料に基づく伝記。

●『大航海者の世界 全七巻』増田義郎監修 原書房

大航海の時代を代表するコロンブスやヴァスコ・ダ・ガマ、マゼラン、ドレイク、ヘンリー・モーガン、キャプテン・クック、ネルソン提督に各一巻をあてた全集。

●『太平洋航海記』ジェームズ・クック著 荒正人訳、現代教養文庫

英国海軍のクック船長による航海記。北米大陸や太平洋各地をくまなく探検航海して測量と地図の作成を行い、これにより地球上の空白地域がなくなったとされるほど。

●『ビーグル号航海記』チャールズ・ダーウィン著 島地威雄訳 岩波文庫

二十二才の若きダーウィンが英国軍艦ビーグル号に博物学者として乗船し見聞を深めたことで将来の『種の起源』や進化論につながったとされる伝説の航海。ただし帆船の記述はほぼなし。

●『帆船航海記』R.H.デーナー著 千葉宗雄訳 海文堂

米国の帆船時代の新人水夫としての二年間の体験を描いた、今も読み継がれる名著。荒天対策や真冬のケープホーン通過、索具の手入れ、海賊船からの逃走など読みどころ満載。

●『セイル・ホー!』 サーJ.ビセット著 佐野修・大杉勇訳 成山堂書店

後にクイーン・エリザベス(一世)号の船長を務め、サーの称号を得た著者による、十五才からの若き日の帆船での修行(帆船時代のほぼ末期)を描いた定番の書。

以上、十点。

いかがでしょうか?
古いものが多くて入手しづらいものもあるかもしれませんが、いずれも定評のある本ばかりなので、これを機に図書館などで本の海を漂ってみるのも楽しいと思いますよ。

米窪太刀雄(よねくぼ たちお)著

夏目漱石も激賞した商船学校の練習帆船・大成丸の世界周航記。
若々しさにあふれた商船学校生による異色の帆船航海記が現代の言葉で復活(連載の第160回: 最終回)

土産(みやげ)話

古い言いぐさだが、「なくて七癖(ななくせ)……」という諺(ことわざ)がある。たいていの人は何かしら癖を持っているという。もちろん、ぼくも持っている。しかも毛色(けいろ)の異(かわ)った妙な癖を。

十二、三歳から二十歳(はたち)ぐらいまでの、美しい、従順(すなお)な、かわいらしい娘の多い家庭にお客となって、若い華(はな)やかな雰囲気(ふんいき)に包まれながら、強烈(きょうれつ)なる色彩とかんばしき芳香(ほうこう)とに富んだ若い生を味わいたい――と、これがぼくの癖である。

しかし、何らの野心も、謀反(むほん)も、冒険もない。ただ、そういう華(はな)やかな家庭の空気にふれていればよい。念のため、ちょっと断っておく。

敏(とし)さんと百合(ゆり)ちゃんと武(たけし)君の家庭は、そういう意味から、ぼくの勝手に選定した家庭の一つである。先方(むこう)ではさぞかし有難迷惑(ありがためいわく)であろうが、とんだ者に見こまれたのが災難と、あきらめてもらいたい。

十五ヶ月ぶりで──どうも「十五ヶ月ぶり」が多いようだが、ぼくらのようなコスモポリタンにとっては、誇(ほこ)りと欣喜(よろこび)とを感じるこんな嬉しい言葉はない──勝手(かって)知った玄関口に立つ。敏(とし)さんが、ニコニコ笑って出てこられる。 続きを読む

米窪太刀雄(よねくぼ たちお)著

夏目漱石も激賞した商船学校の練習帆船・大成丸の世界周航記。
若々しさにあふれた商船学校生による異色の帆船航海記が現代の言葉で復活(連載の第159)。

帰山の途

……広い桔梗ケ原(ききょうがはら)*の片ほとりに、幾星霜(いくとしつき)をさびしくたたずんだ村も、今日はさまざまな秋の草花と、歓迎の文字を記(しる)した色とりどりの旗とで、盛装した花嫁のごとく飾られ、軽く喜んでいる村人の心を、さらにはしゃがせるように、さらにそそのかすように、陽気な昼花火が、青い高い秋の空に男らしく砕け散る。

* 桔梗ヶ原  長野県塩尻市にある、奈良井川の扇状地。

古いモーニングを着た村長殿、中尉の制服をいかつく身体にまとった在郷軍人の団長、黒門付(くろもんつき)に仙台平(せんだいひら)の村会議員、タンスの底からいま出したばかりと──その畳(たた)みジワで一目に証明している──とっておきの矢絣(やがすり)を着た、日焼けしている娘たちがみな、一斉に小さな村の停車場(ステーション)に集まる。

四時の時計が、暮れやすい高原の夕景を先導するようにさびしく高く鳴ると、三千の群衆はすわとばかり襟(えり)をととのえる。飯田町(いいだまち)一番の列車が堂々たる様子で構内に進み入って、「万歳」の歓呼(かんこ)のうちに、商船学校の制服を着用した色の黒い、小さな男がプラットホームに出る。 続きを読む